核廃棄物はいかがですか?

日本の311地震で、活断層や火山の活動とともに、福島原発の放射線汚染問題が、世界の注目を集めている。いろいろなところで、原子力発電所設置の再検討をしているのに、なぜか、台湾政府は原発の安全性をしきりに訴える。

馬総統は核一、二、三発電所は緊急な危険性がないかぎり運転し続けるべきだとか、核四の建設は二重に三重に安全性を重視してほしいと。原発が緊急な危険に陥ってしまったら、もう壊滅だから中止するのも何もないのでは?核四は2010の試運転の段階から出火とか停電とか配線ミスとか設計ミスとか10何回も馬鹿げた事故を起こしているのに、そして何百もの設計改竄をしているのに、建設は続ける。いったい台湾の“有識者”たちは何を考えているのか?
1978年に運転開始した核一は2018年で廃棄年数の40年に達すことになっていたが、危険性が訴えられ、核四ができたら、早めの2011年に運転停止しようと政府が約束する傍ら、どういう風の吹き回しか、いつの間にかあまりにも核一が世界有数の優秀な発電機能を記録しているので、運休年限を20年間延ばそうと台電は20097月に原能会に証明の再発行を申請している。そして、原能会はどうもすでにその前の審査リハーサルで許可すると結論付けているようだ。この国は、というか、日本も含め、というか、この世界はいったいどうなっているのか!!

そして、何十万年も放射線を出し続ける核廃棄物だ。発電後95%が廃棄物になる[1]。台湾は三つの原発で年間使用済み核燃料(高レベル放射能廃棄物)150トン。中低レベル核廃棄物15000缶=4000トン(1缶=55ガロン=約250リットル)。原発を30年計算すれば、最終的に高レベル放射能廃棄物9000トンと中低レベル核廃棄物90万缶ということになる。この危険きわまるゴミをどう処理するか世界のどこの誰も知らない。なのに97%再利用できるとか(何に利用されるかも大きな問題。戦争などは汚染どころではないはず)世界中どこもまだ実現できていないことを“専門家”たちは言い切っている。捨てられているのは低レベル放射能[2](台湾の条例の定義ではなんと炉心以外のすべてだそうだ)だという。
 
1978年核一運転開始に備え、台湾は1974年蘭嶼に廃棄物処理場建設計画をはじめ、1980年に完成。缶詰工場と称されるところに核廃棄物が入居。住民の反対に原能会と台電は暫時的だと弁じ、抗争の末、20065月「低放射線廃棄物最終処置場条例」が可決された。次は廃棄物処理場建設地探しの手続きに入ることになるが、最初に選ばれたのは台東県の達仁郷南田部落と澎湖県萬安郷だった。これをうけて澎湖県萬安郷は海岸を玄武岩の保護区に申請することに成功し、候補予定地リストから外させてもらうことができた。

201143、二度目の候補予定地が経済部によって公表。「社会経済要素」「候補地環境要素」「工事技術要素」で候補予定地の選択をするが、最近の福島の核災害に教訓を得、新たに「自然環境要素」も入れた。その結果、台東縣達仁郷と金門縣烏坵郷のどちらかになった[3]。理由は総合的な見解からよるものだと。

「天然環境の危険性が低い」「大部分の土地は国有地」(つまり林業地?原住民の伝統領域?)「人口が少ない」(達仁4000人、人口密度台湾島内最小。烏坵郷30人)と。そのうち「天然環境の危険性が低い」というのは、達仁郷の場合は「頁岩、板岩ばかり」「石油ガスが発見されていない」「断層から距離がある」、烏坵郷の場合は「無人島ばかり」「断層も活火山もない」と。

阿朗壱古道の真下に貯蔵庫を作るのに、告示では遺跡古跡がない[4]と言っている。また環境署が公表している保護動植物[5]、希有生物が生息している環境であるにもかかわらず、経済部や台電には保護に値するものとは思われていないよう。何が大事で保存すべき、何が大事じゃないと誰が決める権力を持つのだろう?

地震があんなに多発している地域なのに、断層がないとは?[6] 台電と経済部はこの事業は港建設も含め、計290億元、時期は64ヶ月という長さに及ぶことになるので、就職の機会を大量に提供でき、住民のUターンや、町の活性化につながると。

この告示[7]は経済部のホームページで329日から30日間、つまり427日までする。意見があれば、書いて送りなさいと[8]。そしてもし公投(住民投票)するのなら、国営事業委員会の話では、「公投法」によれば、経済部が地方政府に委託するという形で行われることになっていると。

現地の人たち、どう思っているのだろう?反対運動に熱心なサキヌ牧師[9]の話を聞くべく、4月16日、日帰りで台東太麻里郷拉労蘭LALAURAN部落(香蘭部落)行きが、決行。

サキヌ牧師の話によると、どう転んでも南田部落は選択肢から抜けられない理由は三つある。
1.    人口が少ない。4000人しかいない。
2.    交通の便がいい。陸上の運送を危険視される廃棄物の運送はいつも船による。港を作れば、蘭嶼の97000缶、台北地域の核廃棄物を簡単に送ることができる。
3.    屏東県に台湾の重要なミサイル基地・九鵬基地がある。南田までトンネル一本掘れば通るぐらいの距離である。そこにも核廃棄物処理の問題があろうし、台湾は核利用など、原子力爆弾を作ろうと思うなら、トンネルだったら、空の衛星からの国際監視を逃れることもできるし…。

サキヌ牧師たちの反論は:
1.        台電も政府も原能会も低レベル放射能廃棄物だから、安全だと言うが、安全ならなぜわざわざ高額の補償金をつけてこの辺地まで持ってくるのか。
2.        台電も政府も信用できない。蘭嶼の前例もあり、低レベル放射能廃棄物というが、実際建設されたら、何を持ってくるのかわからない。現に核一核二核三にある高レベル放射能廃棄物の暫定貯蔵庫はもうすでに満杯だし、核廃棄物は原発だけではなく、病院、軍事などそのほかにもいろいろあるから。200万缶入る貯蔵場を作ると言われているので、余ったスペースを外国に売り、そこで儲けようとする魂胆もあるのではないか。
3.        緑島と蘭嶼を比較すると分かる。廃棄物のない緑島は今とても観光が盛んになっているが、蘭嶼は寂れていく一方だ。廃棄物処理場があれば補助金も来るし、就職機会も増えるから地域が復興すると産業が復興するなんて、嘘八百。
4.        大事な農産物、きれいな大自然、大事な南田石海岸、阿朗壱古道、様々な希有生物の生態、台湾唯一残されている淨地……。
5.        今の私たちの利益のために、われわれの子孫が大きな害をこうむることになる。われわれには子孫の未来の負担を決める権利はない。
6.        新たに場所を探すことはない。今の核一を廃棄し、貯蔵庫にすればいい。

確かに台電と政府は今までやってきた騙しは数え切れない。蘭嶼の缶詰工場偽装(1980)、原発建設の設計改竄、工事のいい加減さ、放射能記録の怠慢(最近もニュースになった)永遠の「0.05微西弗/Hour」、放射線で汚染された鉄筋・機械・設備などの民間賣出(1988従業員により明るみ)、核廃棄物を一般ゴミ場に捨てる(1982)、運送船事故で廃棄物が海に(1984)、少なくとも300年貯蔵しなければならないのに廃棄物貯蔵缶が錆びて内容物暴露(1994)、条例の不備及び自分の都合に合わせた繰り返しの改定、低レベル放射能規定の曖昧さ、核安全性の言説の敷衍[10]などなど。また、確かに環境・生態は一旦破壊されたら回帰不能である。

この反対運動が成功する可能性は?と聞いたら、「ある」と確信を持って答えた。国際的な注目もあるから、国際の力でと。
が、現状では、安全説を信じるのと補助金ほしさに行政側は自己の赤字改善のために積極的に賛成。南田部落の住民は賛成・反対が半々。メディアの不関心=民衆の不関心。建設しようとしている土地は公用地。一体どうしたら、国際的に連携した力が発揮できるのだろう。

建設賛成側が安全説を信じて楽観視している。でも、なぜ反対側もこのように楽観視できるのか。

同じものに対して、一方では「安全」「怖くない」「日常」、一方では「恐怖」「破壊」「死亡」と。一体こういった専門分野語定義権は誰にあるのだろう?
いわゆる「専業」がこの世界を大きく動かせている。が“専門家”の言うことは様々に変種する。

人は何かを選んで信じなければならない。が、一体どのように何を選んで信じているのだろう?報道されなければその選択肢の存在さえ知らない今の世の中、その肝心な報道は、一体誰の手によってどのように選ばれているのだろう?WTO参入を国策として喧伝されていたときの報道を思い出す。あんなに農業に悪影響があるなんて、その当時はどこにも見出されなかったもの!
201104黄淑燕)


[1]原発賛成派の李遠哲が言っている。が、福島事件後でも「2050年までは原発放棄は無理だ」と。ほとんどのメディアの報道タイトルが「李遠哲:福島事件後でも「2050年までは原発放棄は無理だ」と『李遠哲:放棄核能不易、続蓋要検討!』」(330から416まで、似たようなタイトルの報道が見られる)。
[2]台湾の規定で言う「低レベル放射能廃棄物」についてhttp://gcaa.drupalgardens.com/では現行法規明訂的「低階核廢料」,是指除了用過核燃料棒以外的所有放射性廢棄物。也就是,所謂的「低」放射性廢棄物,可不只是工人用過的手套衣服,連原子爐制御棒、爐壁隔心、配管,這些 拆除除役核電廠後將生的「高βγ廢棄物」也包含其中,其毒性已逼近需看管數萬年的高放射性廢棄物。法定的低階核廢料種類繁多,處理方式及必須掩埋深度也不盡相同,但相關單位卻把所有東西一視同仁,均以最低標準看待
[3] 経済部首頁。
[4]公告說:「場址周圍無史前遺跡,歷史建築語古蹟,附近之阿一朗古到為百餘年前恆春進出卑南之要道,由台東縣達仁通往屏東縣牡丹鄉
[5]生態部分:環保署公告第一級稀特有植物鵝鑾鼻鐵線蓮,保育動物如台灣獼猴、山羌、大冠鷲、翠翼鳩、畫眉。
阿朗壹古道被環保團體視為台灣生態的最後一塊淨土,除了有南田石海岸外,還有椰子蟹、綠蠵龜和食蛇龜等台灣瀕臨種的生物。
[6] この地域は、臨海潮濕,地震頻繁,地質脆弱と環境保全団体が言う。
[7] このほか台東縣達仁郷と金門縣烏坵郷の役所、図書館などの公部門にも告示されているとのこと。
[8] 告示期間が終わったら、何が起こるのだろう?意見を書いたら、あるいは書かなかったら、何が起こるのだろう?
[9] LALAURAN部落には二人のサキヌがいる。一人は作家のサキヌで、青年教育面のリーダー。青年の教育に力を入れ、2006年には新たに狩人学校協会を設立した。村の青年を村全体が協働して教育すべきと主張し、青年には村を守る、村のために働く責任があると。
そして、牧師サキヌ戴明雄は部落のお年寄りと経済産業関係の総責任者で、バイワン族の伝統領域の保全に力を注いでいる。ただ領域を守るのではなく、伝統領域の大自然に適合できる、美しさを保ちつつ産業を推進し、政府や募金などに頼らずに、自力で自活できるコミュニティー運営を目指している。
[10] たとえば福島事件後に就任した工程会主任委員李鴻源が「銫137没那麼恐怖」と言い、すべての土に含有されていると。携帯、レントゲン…全部これより高い放射能を出していると。

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