レベル7、浜岡停止:歴史は繰り返すのか?

 最近のネットで、浜岡原発を停止させた背景に“アメリカ合衆国の圧力”があるという意見というか憶測が流れている。それらの憶測によると米軍横須賀基地の保全のためということがアメリカ合衆国の圧力の動機とされている。(⇒)週間ポストの記事も、こうした憶測に一役買っているのだろう(GHQ彷彿させる官邸へ派遣の米国人 菅総理に代わり決裁権5/19)。
 412Fobesネットによると、アメリカ合衆国上院の委員会で、インホフ議員がNRC(アメリカ合衆国原子力規制委員会)委員長であるグレゴリー・ヤツコを職権乱用で告発したそうだ。ヤツコは311日に福島第一原発事故が発覚してすぐにNRCに非常事態を敷いた。非常事態というのは、通常は4人いるNRC委員で情報を共有し協議して対策を決定し大統領に進言するところを、委員長であるヤツコが情報を独占し、協議なしに大統領に直接進言する体制を言うらしい。インホフ議員は、アメリカ合衆国で事故が起きたわけでもないのに非常事態は理解できない、としてヤツコの行動の説明を求めた。ヤツコは非常事態を敷くことは委員長の通常の権限内の行動であり、福島の事態を重く見たからにすぎない、と答弁している。ヤツコはこの非常事態の下に、例えば317日には米国民に対して福島第一原発から半径80キロ外に退避するよう勧告を出している。(この勧告に対しては米国内でも疑問の声が上がった:半径80キロ避難指示の「科学的根拠」が疑問-米原子力推進団3/18)その後もヤツコは福島事故は日本政府が発表しているよりも深刻だ、という持論を各所で述べ日本まで来て陣頭指揮にもあたった。412日に日本政府が、それまでのレベル5からいきなりレベル7、つまり史上最悪の事故レベルにまでいっきに評価を引き上げた不可解な行動の背景にもヤツコの影響力が大きいという観測がある(田中)。これについては困惑の声もあがった(「レベル7は過大評価だ」ロシア専門家4/12)そして57日の菅首相による浜岡原発停止要請という、また“いきなり”不可解な日本政府の動き。こうなると“背景にまたヤツコの強硬論が”という憶測が出てきても不思議ではない。(横須賀基地の保全、という理由はもっともらしいけれど違うだろう。背景にはもう少し大きな理由があると考えざるを得ない。)
 一つだけはっきりしているのはNRC委員長のヤツコとオバマ大統領は、日本の原発が世界最悪事故を起こしたということを世界に印象付けようとする何らかの動機をもっていることだ。ヤツコは原発廃止論者で有名らしいが、彼が単に“暴走”したのであればアメリカ合衆国内の原発推進論者たち(オバマはその筆頭とされてきたが)がここまでヤツコを“野放し”にしてきた理由が分からない。
 原発安全神話が崩れ、浜岡原発が停止され、稼働中の原発も来年3月までにはすべてが定期検査に入り一時停止されるがその後の再稼動は極めてむずかしいと推測されている。(「原発は必要悪」ウソだった?“全停止”でも大丈夫なワケ5/20)冷戦の中でアメリカ合衆国が東アジアにばら撒いた原子力に、日本では大いにミソがついたわけだが、そのミソをつけたのもまたアメリカ合衆国であるとしたらどこかで歴史が繰り返されるのではないか。危険な原発が廃止される方向に向かってよかった、よかったと(以前、軍国主義が廃止され民主主義になってよかった、よかったと思ったのと同じように)思うわけだが、目をぱっちり開けていないと危ないのではないか。(古川)

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