虐待と拷問ーアブグレイブと日本入管収容所

 《拷問》とは、

身体的なものであるか精神的なものであるかを問わず

人に重い苦痛を故意に与える行為であって、

本人若しくは第三者から情報若しくは自白を得ること、

本人若しくは第三者が行ったか若しくはその疑いがある行為について本人を罰すること、本人若しくは第三者を脅迫し若しくは強要することその他これらに類すること

を目的として又は何らかの差別に基づく理由によって、

かつ、公務員その他の公的資格で行動する者により

又はその扇動により若しくはその同意若しくは黙認の下に行われるものをいう。

「拷問」には、合法的な制裁の限りで苦痛が生ずること又は合法的な制裁に固有の若しくは付随する苦痛を与えることを含まない。

【拷問及び他の残虐な,非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は,刑罰に関する条約】下線は引用者による

2004年、イラクのアブ・グレイブ収容所で、収容者に対する拷問、虐待の実態(のおそらく一部)が暴かれた。【正当な起訴手続きも裁判もなしに】テロ容疑をかけられた収容者たちが裸にされ、頭に袋をかぶせられ、首に縄を付けられ、辱められ、痛めつけられる様子が【拷問者・看守たち自身によって「記念撮影」された映像を通して】世界が知るところとなった。米国国防長官だったラムズフェルドは事態の収拾にあたって『アブ・グレイブのシステムは機能している。拷問・虐待は非アメリカ的な行為であり、拷問に関わった兵士たちは信頼を裏切った』のだと述べ、17人を軍法会議にかけ、二人が実刑、15人が不名誉除隊処分、司令官は訓戒・格下げ処分となった。「システムは機能していた」のに、不届き者のせいで事件がおきたが、処分したのでもう大丈夫というわけだ。
  事件は17人の「腐ったリンゴ」のせいであり、システムは悪くないのだ、というこの戯言を信じた人がどれくらいいるのかわからないが、アブ・グレイブでも(キューバの)グアンタナモでも虐待と拷問が日常的に行われてきたという(被害者、目撃者)証言は枚挙にいとまなく事実無根などではないことを、この事件は示した。

 日本の入管の収容施設での虐待・拷問(拷問という言葉は現在のニュース報道では使われていないが、日本も冒頭に引用した拷問等禁止条約を1999年に批准している)が問題になって久しいが、日本政府は度重なる国連人権委員会からの改善勧告を無視してきた。

 今年3月に名古屋入管の収容所でウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件についても、日本の法務大臣は当初、遺族に面会も謝罪も拒否した。5月になって遺族と面会はしたものの、謝罪はなく、責任も認めなかった。

 810日、サンダマリさんの死の最終報告書【本来調査されるべき入管が行った調査で、第三者を入れたと主張するも誰なのか明らかでない】が出され、ここに至って法相は謝罪し4名の入管職員の処分を発表した。しかしその処分は訓告と厳重注意。これが人ひとりの命を奪った虐待・拷問に対しての処分だった。アブ・グレイブでも名古屋入管でも(今はサンダマリさん事件だけについて言うが)虐待と拷問が行われ、直接的・間接的に収容者を死に至らしめた。一部の「腐ったリンゴ」の仕業であり、「システムは機能している」、という戯言が日本でまた使われようとしている。【訓告、注意という処分を考えると、これらのリンゴは腐ってさえいないようだ。】

 東京オリンピックの開催前に出された入管の内部通達文書には「我が国社会に不安を与える外国人を大幅に縮減することは喫緊の課題だと記されている。(村山さたね)

コメント