デウス・エクス・マキーナ

415日に北朝鮮が気象観測用の人工衛星を打ち上げると発表したら、それを打ち落とすべく台湾もPAC3(地対空誘導弾パトリオット3型)をすでに配備していると公表。ロッキード・マーティン社からグレードアップが完了したものが、もう再配備された。台湾への武器供与について最近ずっと慎重な姿勢だった(しぶっていた)アメリカ合衆国だが、2010年の1月にこの契約を取り付けている。その後昨年暮れのオバマのAisan Pivot宣言があり、中国牽制のために台湾にいろいろな面で軍事的な肩入れをする素振りを見せている。⇒台湾、PAC3配備「必要なら北ミサイル対応も」国防部長452012 
 Aisan Pivotとは何なのか誰もわかっていないようだ。アメリカ合衆国のシンクタンク、ヘリテージ・ファンデーションのブログでは、アジアの兵力増強と言いながら、合同演習とかの名目で部隊をあちこち移動させてるだけで、これじゃあ貝殻ゲーム(三つの貝殻のどれか一つの下に豆を入れて、シャッフルして“さあ、どこにある?”という賭けゲーム)じゃないかばかやろう、と書いている。同ブログは米軍をちゃんとまじめに北朝鮮の脅威に対抗して配置しろ、オバマは及び腰だという批判をしたいのだろう。Don’t Downsize U.S. Forces in Northeast Asia 
 オーストラリアに海兵隊を送ったけど、シンガポールは米軍派兵No Thank you宣言。確かにAisan Pivot宣言は、内実をあまり伴っているという印象がない。
 現在済州島カンジョン村で進行中の海軍基地建設では、李明博大統領が内外の反対を押し切って「これをしなくてどうやって北の脅威(その背景にある中国の脅威)に対抗できると言うのか!」と息巻いている。息巻いて、世界自然遺産のグロンビ岩爆破までやってしまった。取り返しが付かない…世界中の批判にさらされる…と思いきや、またまたデウス・エクス・マキーナ(物語展開に都合よく不自然に何かが起きること―ぐちゃぐちゃにこじれた人間関係を最後に神様が出てきてあっという間に何もなかったかのようにしてしまう、例えばそういうこと)で北朝鮮がミサイル発射。
 2006年の北朝鮮地下核実験ニュースで、それまで金大中、盧泰愚と継承されてきた太陽政策(南北デタントですね)が一気に霧散して、2008年の李明博の登場となった。あれもデウス・エクス・マキーナだった。李政権の米国追従、経済優先路線が批判に晒されると、哨戒艇撃沈事件、延坪島砲撃事件と、またまたデウス・エクス・マキーナ。ちなみに、鳩山総理が普天間県外移設(背景には米国に依存した安全保障はだめだ、という彼の持論があった)問題でワシントンに潰された背景にも、哨戒艇撃沈事件は大きく影響した。
 Aisan Pivotも“米軍再編”も具体的な方向性というか、物(ぶつ)が見えないけれど、とにかくアメリカ合衆国的な新自由主義経済圏をアジア太平洋地域に作るんだ、という妄想みたいなものは見て取れる。中国はともかくとして、北朝鮮はこの妄想になんとタイミングよく、いつも、貢献するのだろうか。こんな分かりやすいデウス・エクス・マキーナもない。金を払って見ている映画で、こんな展開をされたら、ばかやろう、もっと説得力のあるシナリオを書け!と怒りたくなるほどだ。(村山さたね)

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