「ねじ一本で」―核二修理費疑惑


 『貢寮自救会に聞く「核四の現在」』で、ねじ一本で4500万円?と書いたが、この疑惑について詳述します。
 核二は319日に定期点検のために原子炉を停止し、点検がなされた。その際に、原子炉を固定している120本(内側60本、外側60本)のボルトのうち、1本が破損、2本が(おそらく部分的に?)割れており、4本に亀裂が入っていることを発見した。しかし、数週間後に情報が地元メディアにリーク(その経緯は不明だが)されて、初めて台電はこの事実を認めた。(Taipower facing more questioningafter damaged reactor anchor bolts revealed at Guosheng Nuclear Power Plant 4/18/2012)。
 台電は、ボルトの損傷は金属疲労によるものだとおざなりの発表をし、GE社が7本のうち6本を交換した後に超音波検査を行った結果、原子炉は正常に運転可能だと発表した。1本が交換できなかった理由は、それが交換作業不便な箇所に設置されており、無理に交換しようとすると原子炉の繊細な部分に影響を及ぼすからだ、と説明している。民進党議員の一人(田秋は「それじゃあ、車のタイヤを交換して、一本だけボルトを締めずに運転して“安全です”って言うようなものだ!」と批判している。また、金属疲労という説明についても疑問の声が上がっている。ボルトは原子炉そのものと同等の耐久性を保証されているはずで、もしボルトに金属疲労がおきているのなら原子炉そのもののほかの部分にも同じように疲労が出ている可能性が高い(核二は1981年に商業運転を開始した台湾最古の炉)。もし金属疲労ならば、なぜ前回の点検のときに分からなかったのか、兆候がなかったのか(金属疲労とは突然何の兆候もなく現出するものなのか)。120本のうち本当に7本だけが、このような明らかな損傷を受けたのには何らかの理由があるはずだ(台電は何らかの事故を隠蔽しているのではないか)という見方もある。地元自治体の長や議員たちは、核二の正面でデモを行い、120本のボルトすべての再検査を要求した。行政院原子力委員会(原能会)は、核二および台電に対して「原因を調査して対処するよう」指導したが、核二側では調査には時間が必要であり、根本的な修理は次回のメンテナンスでやるしかないと言っている(それならば6本だけ交換して運転再開に支障なし、というのはおかしいのだが…)。原能会もこれを受けて、「調査して原因が究明されるまで運転再開をするべきでない」という民進党側の要求をつっぱねた。
 ボルトの値段について王偉民(民間エンジニア)が「こんな法外な値段はあり得ない」と指摘したが、台電側は『GEとの契約は問題が発生したときに特別な技術者による修理、監視、構造的安全分析、技術設計など総合的なものであり、単に機械部品一つ一つの単価計算で取引するものではない』と回答している。GE社は (Taipower admits to payinghefty price for replacing defective bolts 4/23/2012修理費総額292万ドルの15%がねじ9セット(ボルト、ナット、ワッシャー)43万ドル、62%が取り付け、技術サポート、技術者の派遣費と工賃、と説明している。台電は、GE社に発注する前に、米国の別の会社(名前は明かされていない)に見積もりを取ったところ、ねじ一本(ナット、ワッシャーを含まず)25千ドルで納入には4週間かかるといわれた。GE社の見積もりはナット、ワッシャー込みで一本4万8千ドルで、10日間で納入できるというものだった。核二の技術部門責任者は『われわれもこれは高いと思いましたよ、でも、緊急事態で待っているわけにもいかないので、GE社に発注したわけです。』と語る(前出記事)
 これらの記事が一定程度の真実を伝えているとすれば、この“法外な価格”で儲けたのはGE社ということになるが、そのGE社の価格の中に台湾政府や台電のどこかへのリベート分が上乗せされているのではないかというのが、呉さんや楊さんの疑いなのだ。(古川)

コメント