旺旺中時集団、蔡衍明と釣魚台
「討公道!漁民謝海巡挺、蔡衍明出資」(中時電子報/王亭云/宜蘭報導-2012年09月27日)
25日だったでしょうか、台湾漁船が台湾の巡視船に”護衛”されて釣魚台に行った。台湾の巡視船は、中国大陸の巡視船とともに、日本の巡視船との間で”水かけ”合戦を演じた。台湾漁船団は、常識的に考えれば漁民たちで、その漁民たちは台日漁業交渉が早く再開されて、とにかく以前のように漁業ができることを望んでいたと思われる。交渉が再開される可能性はあったと聞いているけれど、なぜ漁民たちはそれを待たずに、交渉の妨げとなり得る行動に出たのだろうか。しかも、国としては(中国大陸が主張する「中国と台湾は一致団結して釣魚台を守る」路線には乗らずに)静観することを公言していた馬政権の下で、台湾の巡視船が出動するという、どこか矛盾した行動に、なぜ出たのだろうか。その背景に、旺旺中時集団の蔡衍明が、ポンと500万元を出したということが報道で言われた。
まず確認しておこう。釣魚台の問題は、台湾対日本、という問題では(少なくとも台湾では)なく、台湾対中国という側面を強く持っている。中国政府は、「中国人(漁民)を守る」と称して台湾漁船も援助すると言っている。つまり”中国人”の中に”台湾人”をカウントするわけだ。だから、台湾政府としては民間の漁船に釣魚台に行かないように言ってきた。結果、台湾からの抗議者は香港まで行って、香港で中国の船に乗り換えて一緒に釣魚台に抗議に向かってきた。そこに蔡衍明があらわれて「金は出すし巡視船もなんとかするから抗議して来い」とたきつけた。馬政権としてはこれを処罰するか、蔡衍明路線を肯定してそれに乗っかるか、はたまた黙殺するか、微妙な決断を強いられる。今まで処罰したという話は聞かない(処罰すれば、今までだって政府内にくすぶって来た”馬英九は弱腰にすぎる”という批判に油を注ぐ)。
中時電子報(旺旺中時集団の一部)は上記の見出しで、英雄”蔡衍明”を謳いあげた。『討公道!』とは「正義の鉄槌を下した」とか、そんなような意味合い。若い人たちとこのことについて討論したとき、彼らの中には『蔡衍明は台湾のために行動し、企業イメージをあげた』と評価するものもいた。逆に『蔡衍明は台湾を中国大陸の策略に引き込もうとしている』と批判するものもいた。村山としては前者の若者たちが何を根拠に蔡衍明の行動を”台湾のため”と言うのかわからないけれど、そういう意見が存在することを怖いと感じた。まさに誰かの思うつぼの反応だからだ。
こんなにもあからさまに釣魚台問題を中台統一の既成事実作りに利用しようとする行為が、今大きな抵抗なくスルーされようとしている。馬の静観路線は、それなりに筋の通ったものだったと思う。けれども馬もまた、(台湾権力者の大部分と同じように)冷戦時代の人間であり略奪資本主義をあからさまにふりまわせない、どこかでこれまでの(冷戦時代の)中台関係を引きずってしまう。ならば中台の市場開放は企業家にまかせておけ、と蔡衍明の『討公道!』が出てくる。繰り返すが、怖いのは、それを旺旺中時集団の報道そのままに「よくやった」と解釈する人々がいることだ。それが多いのか、少ないのか、まだ分からないということだけが救いだ。(村山さたね)
25日だったでしょうか、台湾漁船が台湾の巡視船に”護衛”されて釣魚台に行った。台湾の巡視船は、中国大陸の巡視船とともに、日本の巡視船との間で”水かけ”合戦を演じた。台湾漁船団は、常識的に考えれば漁民たちで、その漁民たちは台日漁業交渉が早く再開されて、とにかく以前のように漁業ができることを望んでいたと思われる。交渉が再開される可能性はあったと聞いているけれど、なぜ漁民たちはそれを待たずに、交渉の妨げとなり得る行動に出たのだろうか。しかも、国としては(中国大陸が主張する「中国と台湾は一致団結して釣魚台を守る」路線には乗らずに)静観することを公言していた馬政権の下で、台湾の巡視船が出動するという、どこか矛盾した行動に、なぜ出たのだろうか。その背景に、旺旺中時集団の蔡衍明が、ポンと500万元を出したということが報道で言われた。
まず確認しておこう。釣魚台の問題は、台湾対日本、という問題では(少なくとも台湾では)なく、台湾対中国という側面を強く持っている。中国政府は、「中国人(漁民)を守る」と称して台湾漁船も援助すると言っている。つまり”中国人”の中に”台湾人”をカウントするわけだ。だから、台湾政府としては民間の漁船に釣魚台に行かないように言ってきた。結果、台湾からの抗議者は香港まで行って、香港で中国の船に乗り換えて一緒に釣魚台に抗議に向かってきた。そこに蔡衍明があらわれて「金は出すし巡視船もなんとかするから抗議して来い」とたきつけた。馬政権としてはこれを処罰するか、蔡衍明路線を肯定してそれに乗っかるか、はたまた黙殺するか、微妙な決断を強いられる。今まで処罰したという話は聞かない(処罰すれば、今までだって政府内にくすぶって来た”馬英九は弱腰にすぎる”という批判に油を注ぐ)。
中時電子報(旺旺中時集団の一部)は上記の見出しで、英雄”蔡衍明”を謳いあげた。『討公道!』とは「正義の鉄槌を下した」とか、そんなような意味合い。若い人たちとこのことについて討論したとき、彼らの中には『蔡衍明は台湾のために行動し、企業イメージをあげた』と評価するものもいた。逆に『蔡衍明は台湾を中国大陸の策略に引き込もうとしている』と批判するものもいた。村山としては前者の若者たちが何を根拠に蔡衍明の行動を”台湾のため”と言うのかわからないけれど、そういう意見が存在することを怖いと感じた。まさに誰かの思うつぼの反応だからだ。
こんなにもあからさまに釣魚台問題を中台統一の既成事実作りに利用しようとする行為が、今大きな抵抗なくスルーされようとしている。馬の静観路線は、それなりに筋の通ったものだったと思う。けれども馬もまた、(台湾権力者の大部分と同じように)冷戦時代の人間であり略奪資本主義をあからさまにふりまわせない、どこかでこれまでの(冷戦時代の)中台関係を引きずってしまう。ならば中台の市場開放は企業家にまかせておけ、と蔡衍明の『討公道!』が出てくる。繰り返すが、怖いのは、それを旺旺中時集団の報道そのままに「よくやった」と解釈する人々がいることだ。それが多いのか、少ないのか、まだ分からないということだけが救いだ。(村山さたね)

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