原発トリオ、台湾で旗を振る
6月初旬、綠色公民行動聯盟が元GEのエンジニアで電力会社と原発村への批判を繰り返している菊地洋一を招いて講演会をやった。と思ったら、台湾電力が6月24日、こちらも自分たちの主張にあう日本人専門家を三人も呼んで講演会「福島事故後の日本の現状」を台北でやったそうだ。その専門家とは、石川迪夫(みちお)、中村政雄、高村昇。主催は中華民国核能学会と台湾電力。会場で配られた予稿集(左)。
「中華民国核能学会」は1972年の米中接近、日台断交の時に作られた“学術”団体。1970年代に蒋経国の核エネルギー政策と十大建設によって台湾の原発輸入は加速され、米国との関係をつなぎとめ、それが1979年の台湾関係法制定に結びついていった。
ゲストスピーカーは、まず、東大工学部出の石川迪夫、日本原子力技術協会最高顧問。メディアにも頻繁に登場して「原発は絶対安全」と主張し続けてきた人だが、論客として鋭いわけでもなく、“原発推進派”から見れば「あの人を前に立たせると逆効果」といった印象さえ(日本では)持たれている。石川は講演の最後を『台湾に押し寄せる日本の反対派の主張は嘘だらけである』と結んだ(下)。
二人目は、反原発報道を批判する読売新聞の中村政雄。元社主だった正力松太郎(日本の原発の父とでも形容したらいいだろうか)路線を筋金入りで貫いてきた人のようだ。原発報道の中立性を主張し、反対派の宣伝・報道の偏向性を攻撃。(推進派の宣伝・報道については偏向性を認めないという立場だが、それでは「中立性」主張にあまり説得力がない。)
最後に高村昇。山下俊一と同じ長崎大学の医師で、なぜか事故後すぐに二人が福島県放射線健康リスク管理アドバイザーなる職に任命され(もう一人、広島大の神谷医師は半月ほど遅れて任命されているが)、福島市で「100mSVまで安全、子供のマスクなし、外遊びOK、セシウム摂取も全く問題なし、放射線の影響はニコニコ笑ってる人には来ない。クヨクヨしてる人に来る」という講演をした人で、同じ内容の講演をその後も繰り返した。福島では“原爆被害を受けた長崎のお医者さんの言うことなら”と、こうした講演を聞いて安心した人たちが少なくなかったという。
人選を誰がどうやってやったのか分からないが、「日台原子力安全セミナー」(1986年開始、台湾側では原子能委員会、台湾電力公司、核能研究所、放射性物質管理局、中華核能学会が、日本側では原産協会【日本原子力産業協会(原産協会、JAIF)】が主催)を通して培われた人脈が背景にある。結果として日本原発村の最右翼三人が台電と中華核能学会の旗振り役として使われた。
(古川ちかし)



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