McCullin
聊聊で「McCullin」を観た。戦争写真家として有名になってしまったドナルド・マッカラン。オブザーバー紙、サンデイ・タイムズ雑誌のカメラマンとして、キプロス戦争に始まって、コンゴ、カンボジア、ベトナム、レバノン、ビアフラと「戦争ジャンキー」となって追いかけ続けた。1981年、サンデイ・タイムズ紙がルパート・マードックに買収され、雑誌が大衆的な娯楽雑誌と化したとき、マッカランは首になった。(マードックのメディア王国、下図を参照。)
マードックがマッカランを首にした1981年は、彼が20世紀フォックスの買収に乗り出した年だった。“イギリスの古きよきジャーナリズム”は、“オーストラリアの田舎者成金”の手によって潰されてしまった…と映像は直接嘆いていないが、そういうトーンは感じられる。この時、イギリスはマーガレット・サッチャー首相(1979-1990)率いる保守党の下で、新自由主義へ大きく舵を切ろうとしていた。そういう時流に、マードックは機敏に反応したとも言えるし、時流がマードックを呼び寄せたとも言えるのかもしれない。古いSunday Timesや、マッカランのようなジャーナリストはお払い箱になる運命だった。マッカランは今は人間を撮らない。古き良きイギリスの風景だけをひたすら撮り続けている、と映画は終わる。
余談だが、Sunday Timesを首になった後もマッカランは仕事を続けるが、1982年からのフォークランド戦争の話は映画にはさっぱり出てこない。イギリスが直接関与して責任があると思われる戦争の話は、不思議なことにこの映画には出てこないのだ。マッカランが戦争を選んで取材している、ということなのかもしれないが。(村山さたね)



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