「国際機関」の「国際基準」とはどのようなものか(3)
コーデックス委員会の食品安全値とは何か?
台湾行政院衛生署は、2012年6月29日、「食品中の放射性降下物又は放射能汚染基準」の改正案を公表。セシウム134+セシウム137の基準値が370Bq/kgから600Bq/kgに引き上げられました。これは、コーデックス規格よりも厳しいんだから(批判者が言うように基準を緩和するのではなく)強化なんだ、と説明していますが、このコーデックス規格とは何なんでしょうか。
1962年、国連の専門機関であるFAO (国連食糧農業機関)とWHO (世界保健機関)が合同で、国際的な食品規格をつくることになり、その食品規格計画の実施機関として作られたのが食品規格委員会(コーデックス委員会)だそうです。2004年までは二年に一度、以降は毎年開かれるこの委員会で決定されるのがコーデックス規格。大変に権威がありそうな代物ですけど、誰が“委員”なのか。
メンバー国は185、国ではないけど特別にEU(欧州連合)も代表団を出していて、この186の“政府代表団”というのが“委員”に当たるようです。それ以外にオブザーバーと呼ばれ、意見は出せるが採決には参加できない団体が約220、会議に出席しているそうです。まずこの“政府代表団”の中には随行員や技術アドバイザーという資格で企業代表が相当数紛れ込んでいるようです。オブザーバーは多国籍製薬企業、多国籍食品企業が大半を占め、消費者NGOとしては国際消費者組合(International
Comsumer Union)とIACFO(食品国際消費者機構)、IFOAM(国際有機農業運動連盟)などが代表を送り込んでいるだけです。
たとえば日本では住友化学、日本農薬、日本曹達、農薬工業会、ネスレ、ペプシコ、コカ・コーラ、モンサントなどがオブザーバーとして会議に出ているのに加えて、農林水産省が一般国民との意見交換のために「コーデックス連絡協議会」なるものを作っています。その構成メンバーの中にもサントリー株式会社や、食品業界の団体である「食品産業センター」、公益法人だが業界側の「日本食品衛生協会」「日本食品添加物協会」などが学者や消費者団体の代表に混じっています(全メンバー14人中4人)。食品関係の「学者」たちは食品業界、中でも巨大多国籍食品関連企業の補助金なしには存在できず学会誌さえ出せない状態ですから、食品業界に不利になる論文が闇に葬られるといった事態は米国や英国のお家芸ではなくなりつつあるとも聞きます。「コーデックス連絡協議会」に名を連ねる3名の学者がどのような人たちか分かりませんが、疑問符は残しておきます。
堤未果(貧困大国アメリカ、2013、岩波新書)は米国の栄養学者の次のような言葉を引用しています。『コーデックス委員会は…家畜には成長ホルモンと抗生物質を投与し、食品は生で口にするもの以外放射線照射を受けることを推奨している。コーデックス委員会のホームページに記載されている輸入食品用添加物リストの、アルドレンやヘキサクロロベンゼンといった有害物質を使用したいのは消費者ですか?それとも売る側の企業でしょうか?これらを添加した食品の輸入を水際で止めようとすると、それは取引違反になるのです。』
コーデックス委員会はその目的として、「消費者の健康の保護」と「公正な貿易慣行の確保」の二つを掲げています。「公正な貿易慣行の確保」はWTO(世界貿易機構)の目的でもありますから、WTOが食品貿易上のトラブルに際してコーデックス規格に依拠して裁定を下すことも驚くにあたりません。コーデックス規格には国際的強制力や罰則がないと言われますが、WTOにはそれが(加盟国間で、ですが)あります。
国連という組織は国家利益代表によって構成されています。国家利益代表とは各国で選挙で選ばれた人たちなわけですが、各国の富裕層と企業体の代表という面を年々濃くしてきています。このこと自体が最大の問題なのかもしれません。どうやってそんなことができてしまったのか、が。この文章のまとめとしては、国際機関だの国際基準だのと言えばシモジモがははーっと恐れ入ると思ったら大間違いだぞ!ということですね。

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