震災がれきの捨て場を逃れたと思ったら次は実弾射撃場に: 標的の島パガン島と北マリアナ諸島



北マリアナ諸島
パガン島
  かつて(1919年から1944年まで)日本が植民地化し、その後アメリカ合衆国が占領、1947年にアメリカの信託統治領となり、1986年からはアメリカの自治領(コモンウエルス)となった北マリアナ諸島。19458月、広島、長崎に原爆を搭載したB-29 が飛び立った米軍基地があるのはテニアン島(Tinian Island)。現在も島の三分の二が米軍にリースされている。去年5月、その北に位置するパガン島(Pagan Island)に東日本震災のがれき1000万トンを受け入れてくれないかという提案が、日本企業から北マリアナ政府に出された。音頭を取ったのはマルナカグループ関西石油のオーナー、(自称元地上げ屋)徳市勇。住友金属の子会社でシンガポールに本拠を構えるSH Asia Pacific Pte社、(日本語名称は調べていないのだが)Kanakyo Kaizen Kiko Co.なる会社が、この提案に連座した。提案では、がれき受け入れの見返りに、パガン島の資源であるポラゾン(火山灰だが水硬セメント、モルタルの原料になる)を日本に輸入するとした。行きはがれきを満載して、帰りはポラゾン満載で、大儲けという計算だった。がれき処理には政府の補助金が出る。ポラゾンは高値で取引できる。ネックになったのは日本の産業廃棄物処理法だった。反対運動も拡大した。地元を中心に2500人の反対署名も集まった。20126月の報道では関西石油を除く各社は提案をひっこめた。関西石油はまだ執念を燃やしているようだが、がれき処理自体が大手企業の草刈り場になって瓦礫よりも処理施設の方が多くなってがれきの取り合いが始まっている今、計画実現の可能性はなくなった。
 
グアム島
 ところが一難去ってまた一難。今、そのパガン島を実弾射撃場にするという計画が米軍から持ち上がっている。現在はグアムに米軍部隊の中心はあるわけだが、そのグアムが攻撃を受けた場合を想定してサイパンにもう一つ大きな飛行場を建設する計画とセットになっているという(ソースサイト)。話し合いがこれから始まる。
島は計画が進行すれば「標的の島」となる。米軍は、パガン島は頻繁な火山噴火のために恒久的に居住する人々はいないとしている。パガン島もチャモロの人たちが住んできたが現在は火山活動のために退避していて、実際住んでいるのは4人だけという報告もある。米軍は、パガン島が艦砲射撃訓練、物資輸送・投下訓練、上陸訓練に適している、としている。すでに実弾演習に1976年から使われてきたファラリョン・デ・メディニラ島(パガン島のさらに北。北マリアナ諸島からアメリカ合衆国が50年の契約で借りているが、さらに50年間の契約延長が可能)では、島の周囲の立ち入り禁止区域を拡張する計画も進行中。島とその周囲の珊瑚礁をさらに破壊するものとして反対運動も始まっている。
もはや沖縄での基地拡張を防げばそれがフィリピンに行く、北マリアナへいくという構造ではないようだ。じわじわと放射能のように米軍が環太平洋に拡散していく―それがそもそもオバマのアジア・ピボット(ちょっと古い表現だが、オバマ自身の言葉)だった。北マリアナ政府内にも反対派はいる。環太平洋の島々が連帯すれば計画を撤回させる力になるのかもしれないが長い戦いになる。(阿川)

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