現地報告、星州THAAD基地
| 村からゴルフ場への道 photo by 阿川 |
7月2日、星州(ソンジュ)の村を初めて訪れた。草田面(チョジョンミョン)韶成里(ソソンリ)。ソウルから金泉亀尾までKTXで行き、金泉亀尾から村会館までタクッた。カンジョン村で知り合ったDさんから、ソンジュのKさんを紹介してもらい、そのKさんが金泉亀尾駅まで出迎えにきてくれたために、まったく迷わずに現地に到着。さらにKさんが知り合いや村長さんの話を聞けるよう、手配してくれた。テグに住んでいて台湾留学中のSさんは、われわれのためにソンジュまで来てくれて、韓文ー中文の通訳をしてくれた。当日の雨を除けば、非常に幸運な訪問となった。
| ソソンリの村会館 photo by 阿川 |
村にあるゴルフ場の接待所(というのだろうか)は警察が接収して使っているので、その前には機動隊のバスが並んでいる。
| 円仏教の抗議テント photo by 阿川 |
| 「村を守る」警官たち photo by 阿川 |
この場所が選定された理由は1)人口が少なく高齢化しているので反対があっても御しやすいと見られたこと、そして2)ゴルフ場のために道路が整備されていたため、という二点が大きかったようだ。
レーダーとミサイルが実際に搬入されたのは、4月26日の朝4時だったそうだ。その晩の12時のニュースで、搬入を知らされた住民たちは眠い目を擦って抗議に向かった。待ち構えていたのは無数の警官だった。警官たちが米軍の車両を両側から守り、通過させた。抗議者たちは、いろんなものを警官隊の頭越しに、米軍車両に投げつけたりしながら抗議した。おばあちゃんが腕の骨を折る怪我をした。第二回目の搬入はその2時間後、午前6時にあった。再び抗議者と警官隊が衝突し、逮捕者が続出した。その様子を、米軍車両内の米兵が笑ってみている様子がビデオに撮られている。彼らは、外の喧騒を面白がっている様子で、写真などを撮っている。
「私たちの必死の抗議を面白がって、笑いながら写メしていたんです。こういうことに対して米軍が謝罪しなければ、私たちの村を二度と米兵に通過させません。」温厚な村長さんが、このときは少々語気を強めていった。
文在寅大統領が就任すると、村に初めて政府高官が来て、住民の話を聞いてくれたのだそうだ。あれだけ住民を無視した朴大統領のときとはえらい違いだ、と村長さんも考えた。新大統領府は、警官隊の数も3割に減じ、ゴルフ場寄りに500メートル移動させた。環境アセスメントを行って、その結果を検討するまで、THAADの全面運用は行わないという宣言も出した。
「警察がきて、ここには入るなとか、私たちをコントロールしようとするのは、とても嫌なことです。あと、私たちの村ではマクワ瓜などが特産なんですが、基地がきたら、電磁波が農作物に悪い影響をもたらすので買いたくない、といった変な話もあります。」(村長さん談)
案内してくれたKさんは言う。「このTHAADは、日本軍と南韓軍と米軍の、最初の密接な協同軍事行動なんです。今までは米国と日本、米国と南韓という繋がりで動いてきた。日韓は、慰安婦問題が原因で、軍事的にも完全に互いを信じて情報交換したり共同作戦を実施できなかった。米国としてはそこを何とかするために、あの慰安婦合意もさせたけれど、それでもぎくしゃくしている。
THAADに関しては、日韓が直接にレーダー情報その他を交換しながら運用していくことになるでしょう。その結果、米中の軍事バランスが崩れて朝鮮半島の不安定化が進んでも、日韓でどうにかしてくれ、そのほうが日韓が結びついて、東アジアの米国権益を守ってくれるというトランプのくそみたいな思惑があるんでしょうかね。」 トランプ米大統領が文在寅をどう扱っていくのか、まだ分からない。星州だけでなく、南韓全体で、(朴槿恵への反動という部分が大きいにしても)文在寅への期待が高まっているのを感じる。【阿川】

コメント