ジブチと与那国
安倍晋三がジブチ(Djibouti)に立ち寄って「戦後初の自衛隊基地」(と自衛隊内外で呼ばれているそうだけど公式には「活動拠点」と呼ばせている)を訪問というニュースを見た。戦後初のという言い方が、旧日本軍と自衛隊の連続性を前提にしているのが何とも間抜けというか無神経というか…。いつのまにか、ろくな議論にならない間に、自衛隊は海外基地を作っていた(2011年7月1日)。約十二ヘクタールの基地建設費は約47億円が費やされ、体育館、ジム、風呂屋みたいなものまである(http://www.webcitation.org/60JElmVwU)。
映画「The
Standing Army」で各地の米軍基地が紹介されているが、あの感じのものがデンと建てられた。土地の賃貸料として(ジブチ政府に)いくら払っているかは秘密(2010.11.2菅首相国会答弁)だそうだ。隣接するレモニエ米軍基地の米軍施設も使っていてその使用料が(2009から2010)一年でおよそ500万ドル、そのほかにDP World社というアラブ首長国連邦の国営会社が管理するハンガーの使用料に年間18万ドルほど支払っているという。護衛艦2隻とP3C哨戒機2機、兵士約180名の常駐に加えて護衛艦船員を足すと常時約500名の自衛官がうろうろしている計算になる。
映画「The
Standing Army」で各地の米軍基地が紹介されているが、あの感じのものがデンと建てられた。土地の賃貸料として(ジブチ政府に)いくら払っているかは秘密(2010.11.2菅首相国会答弁)だそうだ。隣接するレモニエ米軍基地の米軍施設も使っていてその使用料が(2009から2010)一年でおよそ500万ドル、そのほかにDP World社というアラブ首長国連邦の国営会社が管理するハンガーの使用料に年間18万ドルほど支払っているという。護衛艦2隻とP3C哨戒機2機、兵士約180名の常駐に加えて護衛艦船員を足すと常時約500名の自衛官がうろうろしている計算になる。
ソマリアの武装勢力が資金調達のために始めた「海賊」行為に対処するため、というのが名目。スエズ経由で商売している日本船主協会などにとっては護送船団を組めるので大歓迎。ジブチ政府は基地を「誘致」して賃貸料を稼ぐだけでなく、50%を超える失業対策としても歓迎しているとのこと。自衛隊基地、レモニエ米軍基地、フランスの基地、それらに間借りしているドイツ、スペインそれぞれの軍隊…ジブチは軍事基地「銀座」と化している。こういうことが可能になった背景にはゲレ大統領率いる長期独裁政権によるジブチの私物化があると言われるから大人の世界はまったく複雑怪奇だ。
もっと怪奇なことがある。それは2009年に日本とジブチ間で交わされた「交換公文」なるものの中で「部隊、海上保安庁及び連絡事務所並びにこれらの財産及び資産(所在地及び占有者のいかんを問わない。)は、あらゆる形式の訴訟手続からの免除を享有する。【文書4条(b)項】」と約束されていることだ。まだある。「日本国の権限のある当局は、ジブチ共和国の領域内において、ジブチ共和国の権限のある当局と協力して、日本国の法令によって与えられたすべての刑事裁判権及び懲戒上の権限をすべての要員について行使する権利を有する【8条】」つまり、自衛隊は何をしてもジブチの警察権が及ばない、というわけだ。SOFA=日米地位協定でさえ、一定の手続きのもとに米軍人・軍属の刑事裁判権を日本に認めているのにこれはあまりに相手の主権を認めない約束。これを今後の自衛隊(日本軍)基地の先例としてやっていきたいと公言するものもいる(野田内閣の防衛大臣、森本)というから、沖縄での米軍兵士の暴行をあくまで「事故」扱いしてきたのは自分たちの利益を考えてのことだったのかと腑に落ちる。
名目であるソマリア海賊対策の方はジブチ基地の存在によって減少しているかというと、逆に倍増している(自衛隊派遣前の2008年に111件だった襲撃が2009年には217件、翌年には219件)。ただ基地銀座周辺を避けて倍増している。当たり前だ。各国の基地を一か所に集めてしまったら、他の地域なら安全だというのは子供でも分かる。
経済優先で軍事産業に頼ろうという例はもっと近いところにもある。8月11日の与那国町議会選挙で外間守吉が再選され、2015年には100-200人の陸上自衛隊員が常駐する兵営を建設し、東端に沿岸監視施設と移動式警戒管制レーダー基地を建設する計画が軌道に乗った。選挙は僅差だったけれど、対立候補の崎原正吉も真っ向から基地化反対を掲げたわけでもなく、やり方に文句を言った感じだった。基地に反対するには尖閣問題が先鋭化しすぎているというのが大人の見方のようだ。ジブチでソマリア海賊問題が前面に押し出されて基地化が正当化されたのと同じやり方だ。日本の権力中枢は尖閣問題に火をつけ中国を挑発し、竹島問題で韓国を挑発し、ほらみろあっちに危険な奴らがいるんだと国内を挑発し、米軍のAsia Pivot戦略支援とそれに便乗した日本軍拡大戦略を展開してきた。それに騙されたふりをして金儲けしようという人たちもいるのだろうけれど、生活を壊されてまで軍事化したい人がどれほどいるだろうか。福島も国策に騙されて生活を奪われた。沖縄は否応なく生活を奪われた。それでも慣れるものさ、そんなもんだと思えばそんなもんさ。まことに大人の世界は複雑怪奇。
外間守吉は基地誘致にあたって10億円の「迷惑料」を要求してきた。それなら白紙撤回だと防衛省に恫喝され、「市町村協力費」という名目に変えて再交渉したが難航。結果的には基地建設予定地21ヘクタールの土地賃貸料として年間500万円と値切られた。それを再度ねばって交渉して年間1500万まで引き上げた。その「功績」で再選されたのかもしれない。こんなに値切られても、それでも誘致したいのだ。自衛隊が基地建設費として計上しているのは70億円以上というから、数字だけ見たら何ともケチな国だ。足元を見られた。
反対する人たちの理由は、最前線の軍事基地を作るとなれば、有事には当然最初のターゲットとなる点だ。中国とだけでなく、台湾とも微妙な軍事的位置関係にある与那国島。当然の心配であり、有事となれば捨石になることも見えている。(村山さたね)

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